三島由紀夫の「春の雪」の一文を
今日は披露したいと思う。
「春の雪」は松枝清顕と綾倉聡子の悲恋の物語。
下の文は、その悲恋の中で
清顕の聡子への思いを綴ったもの。
聡子の宮家へのお輿入れの勅許がおり、
自分達の恋に終止符を打たなければならない状況にある時のものである。
「 神聖な絶対不可能な
手の届かぬ
美しい禁忌(タブ−)
この至高のものとこそ
僕の純潔は
結びつかなければならなかったのだ
天皇陛下の勅許という
重みをかけて
歯向かってくるこの拒絶
ここにこそ
彼女の存在の
もっとも神聖な核があるのだ 」